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肺分画症の血管走行

肺分画症を手術する際に最も重要なことは、血管の走行を可能な限り把握し、予期せぬ血管損傷のリスクを最小限に留めておくことと考えられます。しかしその血管走行は単純ではありません。先日、肺葉内肺分画症の血管走行に関して議論があり、復習してみました。 続きを読む

CCAMとCPAM

先日、小児呼吸器外科研究会が開催されました。小児外科疾患の中では症例数も少なく、”マニアック”な印象もありますが、臨床上困ることや悩むことが多い疾患群でもあり、またあまり集中して勉強する機会がありませんでしたので、とても勉強になった会でした。各施設の大御所の先生たちがdiscussionを交わすところを聞いていると、問題が浮き彫りになってきて非常に勉強になります。

演題の中にもCCAMとしているものとCPAMとしているものがありました。漠然とCPAMが最近の概念なんだな、くらいにしか思っていなかったので今一度整理を。

CCAM:先天性嚢胞状腺腫様奇形
CPAM:先天性肺気道奇形

この分野の第一人者はStockerで、もともとCCAMを嚢胞の大きさからtype 1から3に分類しました。(http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000131.htmlより引用)
スクリーンショット 2014-10-27 11.55.59その後に0型と4型を追加した分類を提唱し、CPAMという名称の変更を提唱しました。下図は非常にCPAMの疾患概念がわかりやすく教えてくれていると思います。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21977070より引用)
CPAM_Type_SchemaちなみにCCAMとCPAMの対比を慈恵の小児科の先生がまとめられていたので引用させていただきます。(http://www.jikeirad.jp/syourei/kensyui/201302up/201302_02.pdf)
CPAM_CCAM比較

後日のエントリーで書きますが、まだCCAM/CPAMという疾患概念は確立しておらずかなり熱い議論が戦わされていました。CPAMという名称もあまり一般的ではないようで、演題中でもCCAMを用いている発表が圧倒的に多かったです。私見ですが、CPAMという概念自体もコンセンサスを得られている状況ではなく、また分類も変わりそうだし、とりあえず従来のCCAMという言葉を使っておこうという施設が多いということなのかと思っています。

西アフリカから帰国後の癲癇発作と高CK血症

少し備忘録ついでに症例検討会のメモを残しておきます。

40歳男性、Black / African

【Sample】
Subject:高CK血症、食欲不振、筋肉痛(全身)
Allergy:既知のものなし
Medicine:デパケンR→今回のイベントまで怠薬していた
Past History:癲癇→20歳で指摘、今まで3回発作あり
Last meal:朝食、いつもより少ない
Event:
2日前に癲癇発作を起こし搬送。それまでは元気だった。発作は5分ほどでおさまっており、来院時の意識は清明。上記の通りデパケンの怠薬があったため、それによる癲癇発作と考えた。血液検査でCK 9000と高値を認め、横紋筋融解症を懸念され、外来で輸液されていた。血液検査でCK 11000とリバウンドを認めcallあり。

【Vital signs】
Level Clear、全身状態は問題なし
体温 36.7度、他vital signsは記載なし

【Physical signs】
顔面:眼球結膜黄染なし、咽頭所見なし
頸部:リンパ節腫脹なし
胸部:呼吸音清、心音清
腹部:平坦軟、圧痛なし
四肢末梢:温、CRT<2sec
体表:皮疹なし

【血液検査】
血算:正常(血http://pedsurgery.wp.xdomain.jp/wp-admin/post-new.php#小板減少なし)
生化学:CK 11000、AST/ALT 80/80、LDH 600、T.Bil 0.8、CRP陰性、BUN/Cre 正常、電解質正常
尿検査:色調正常、潜血陰性
_______________________________

さて
#.どうしてCK値がリバウンドしたのか?
#.今回の発作は本当に癲癇で良いのか?
が気になりました。それでよくよく話を聞いてみると。

渡航歴:西アフリカに3ヶ月間、帰郷していた。実家で過ごしており現地人と同じ様に過ごしていた。蚊の対策はきちんとしており、蚊帳の中で寝ていたがマラリアの予防内服はせず。淡水への接触はなし。エボラ出血熱の流行はなかったと。

癲癇発作:いつもは2分くらいだった発作が5分くらい続いたと。発作後筋肉痛などが出現することはあるが、今回は酷く、2日経ってもまだ残っている(少しずつ良くはなってきているが)発作前後に熱中症を疑う様なエピソードはなしと。

ということでした。高CK血症の鑑別や、輸入感染症の鑑別、横紋筋融解症ってよく聞くけど実際どうなの?など、色々と曖昧な知識を整理することが必要な症例でした。少し勉強してみます。

【Clinical Questions】
#.輸入感染症の鑑別方法
#.横紋筋融解症とは?
#.マラリアの予防内服は?
#.癲癇後の高CK血症のnatural history

小児のAFP

小児肝腫瘍を鑑別する際は、年齢と腫瘍マーカーが大事な因子になってくると思います。再度確認する必要があったので簡単にですがまとめておきます。

Pediatric Surgery 7th edition / Coran

・腫瘍マーカー:AFP、βhCG、フェリチン、CEA、VMA、HVA
・肝炎ウイルスマーカー:HAV、HBV、HCV、EBV
・AFPは90%の肝芽腫、50%の小児HCCで上昇する

・AFPの上昇は必ずしも悪性腫瘍を示唆しない
・AFP<100の肝芽腫は予後不良因子である
・一方、高分化型、胎児型などのfavorable histrogyではAFP上昇しないこともある

・新生児の肝臓はAFPを産生しているため、高値が正常
・最初の数ヶ月で値は低下し、少なくとも1歳までには成人の上限である10ng/ml以下になっている
・新生児期の肝外傷の回復期でも高値を示す
・乳児期の血管腫や間葉性過誤腫と言った良性腫瘍でもAFPは上昇することがある

神経芽腫とHVA・VMA

HVA/VMA陰性の後腹膜腫瘍が搬送になりました。確か神経芽腫は陰性でも否定はできなかったはず…など知識が曖昧だったため、今手に入る文献で復習。

Pediatric Surgery / Coran
・90%でカテコラミンと副産物の値が高値となる
・神経芽腫の分化度が低いとHVAが、分化度が高いとVMAが高値となりやすい
・副交感神経から発生した神経芽腫の報告があり、Achを分泌していた
・CEAは25%に陽性
・フェリチン:StageIVの63%で高値であり、予後不良因子、特に2歳以上の女児で顕著
・NSE:遠隔病変がある96%で高値となり、予後不良因子、乳幼児で顕著
・LDH:限局した神経芽腫で高値だと予後不良

【神経芽腫】 神経芽腫の臨床像の概要(解説/特集)
Author:高橋 寛吉(埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科), 花田 良二
Source:Pharma Medica(0289-5803)29巻5号 Page17-23(2011.05)
・大部分の症例がHVA/VMAいずれかの上昇を示す
・10-20%にいずれも上昇しない非分泌型の例がある(引用元なし)
・24時間酸性蓄尿を検体として使用
・高速液体クロマトグラフィーによる随時尿での測定が可能に
・尿中クレアチニンとの比を取ることにより測定、単位はμg/mg Cre
・点滴中では誤差が大きくなりがち
・Down症候群、先天性心疾患、アトピー性皮膚炎では生理的高値を示す

【尿を科学する】 尿検査各論 副腎機能検査における尿検査 VMA、HVA、コルチゾール、17-OHCS
Author:宮森 勇(福井大学 医学部第3内科学教室)
Source:綜合臨床(0371-1900)58巻5号 Page1251-1254(2009.05)

VMA
・アドレナリン、ノルアドレナリンの最終代謝産物
・バナナや柑橘系、アイスクリームを大量に摂取すると偽陽性となる
・Shy-Drager症候群や家族性自律神経失調症では低値となる

HVA
・ドーパミンの最終代謝産物

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