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人工甘味料は腸内細菌叢を変化させることで耐糖能異常を引き起こす Nature

Nature. 2014 Oct 9;514(7521):181-6. doi: 10.1038/nature13793. Epub 2014 Sep 17.
Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota.
Suez J1, Korem T2, Zeevi D2, Zilberman-Schapira G3, Thaiss CA1, Maza O1, Israeli D4, Zmora N5, Gilad S6, Weinberger A7, Kuperman Y8, Harmelin A8, Kolodkin-Gal I9, Shapiro H1, Halpern Z10, Segal E7, Elinav E1.

最近、ネガティブな報告ばかり続く人工甘味料。腸内細菌に絡めた論文です。簡単に言うと人工甘味料(特に本文ではサッカリンがメインに扱われている)を投与することで、腸内細菌叢が変化し、代謝物が変化し、耐糖能異常が起こると。

ただしこの論文では 続きを読む

CCAMとCPAM

先日、小児呼吸器外科研究会が開催されました。小児外科疾患の中では症例数も少なく、”マニアック”な印象もありますが、臨床上困ることや悩むことが多い疾患群でもあり、またあまり集中して勉強する機会がありませんでしたので、とても勉強になった会でした。各施設の大御所の先生たちがdiscussionを交わすところを聞いていると、問題が浮き彫りになってきて非常に勉強になります。

演題の中にもCCAMとしているものとCPAMとしているものがありました。漠然とCPAMが最近の概念なんだな、くらいにしか思っていなかったので今一度整理を。

CCAM:先天性嚢胞状腺腫様奇形
CPAM:先天性肺気道奇形

この分野の第一人者はStockerで、もともとCCAMを嚢胞の大きさからtype 1から3に分類しました。(http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000131.htmlより引用)
スクリーンショット 2014-10-27 11.55.59その後に0型と4型を追加した分類を提唱し、CPAMという名称の変更を提唱しました。下図は非常にCPAMの疾患概念がわかりやすく教えてくれていると思います。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21977070より引用)
CPAM_Type_SchemaちなみにCCAMとCPAMの対比を慈恵の小児科の先生がまとめられていたので引用させていただきます。(http://www.jikeirad.jp/syourei/kensyui/201302up/201302_02.pdf)
CPAM_CCAM比較

後日のエントリーで書きますが、まだCCAM/CPAMという疾患概念は確立しておらずかなり熱い議論が戦わされていました。CPAMという名称もあまり一般的ではないようで、演題中でもCCAMを用いている発表が圧倒的に多かったです。私見ですが、CPAMという概念自体もコンセンサスを得られている状況ではなく、また分類も変わりそうだし、とりあえず従来のCCAMという言葉を使っておこうという施設が多いということなのかと思っています。

先天性嚢胞状腺腫様形成異常 ( CCAM ) 病理と疫学

Cystic Lung Lesions
CCAM
Pediatric Surgery 7th Ediion / Coran

小児呼吸器外科へ向けて。復習がてらに呼吸器外科領域の勉強。Pediatric Surgeryはあまりきちんとした記載がないので、いつか英語の成書を買わなければいけませんね。

病理
・大きさは1.0mmから10.0cmに及ぶ
・組織学的特徴
粘膜のポリープ様突起
嚢胞壁内の平滑筋と弾性繊維の増生
軟骨組織の闕失
粘液産生細胞の存在
炎症の欠損
・正常のガス交換には寄与しない
・胎児CCAMは大きく2つの病理に分けられ、Pseudoglandular(偽腺様)とCanalicular(細管状)である
・Stockerは嚢胞の大きさでtypeI-IIIに分けたが、臨床像と一致しなかった
・周産期に同定されたCCAMは解剖学的・超音波所見で2つにカテゴライズされる
5mm以上の大きい嚢胞領域を単数もしくは複数持つもの
微小な嚢胞領域を多数持つもの(超音波ではsolidに見える)
・予後は大きさではなく、上記のlesion typeと嚢胞の増殖能力で決まる
・切除標本を見ると細胞増殖の増加とアポトーシスの減少が観察される
・胎児期に急速に増大し水腫を来したCCAMの胎児期切除標本を見ると、PDGF(血小板由来増殖因子)とその遺伝子発現の増加が認められる
・FGF10を用いたCCAMのマウスモデルを作成されている

疫学
・基本的には片側に発生し、両側は稀で左右さあなし
・下葉が最も多い
・小児期に診断される症例では、肺炎をきたすことが多く、Cyst内のクリアランスの低下によると思われる
・気胸、成長障害などが初発症状となることもある
・性差なし

抗原摂取に伴うIgEシグナルの阻害は成立した食物アレルギーを脱感作し、Treg細胞を誘導する Immunity

Immunity. 2014 Jul 17;41(1):141-51. doi: 10.1016/j.immuni.2014.05.017. Epub 2014 Jul 10.
Immunoglobulin E signal inhibition during allergen ingestion leads to reversal of established food allergy and induction of regulatory T cells.
Burton OT1, Noval Rivas M1, Zhou JS1, Logsdon SL1, Darling AR2, Koleoglou KJ2, Roers A3, Houshyar H4, Crackower MA4, Chatila TA1, Oettgen HC5.

Abstract
・IgEはアナフィラキシーの様な即時型のアレルギー反応のトリガーになることはよく知られている
・IgEが摂取した抗原タンパクに対する初期抗体やTh2を介した免疫反応を増強するかどうか?
・IgEを阻害することで、抗原に対する感作を修正できるかどうか?を示した
・脱抑制した形態のIL4レセプターを内部に有するマウスを使用し、アジュバントを用いずにピーナッツアレルギーを誘導するモデルを作成した
・形質細胞とIgEは抗原タンパク抗体の誘導とTh2を介在する反応を誘導するのに必要であったが、Tregの誘導も抑制することがわかった
・FcεRIシグナリングキナーゼであるSykを欠失させた形質細胞では、もしくはSynを阻害すると、ピーナッツの感作が阻害された
・アレルギーが成立したマウスにおいて、Sykを阻害すると脱感作が促進され、Tregが誘導された
・我々の研究によって食物アレルギーにおいてIgEがTh2への誘導だけでなく、Tregの抑制にも関わっていることが示唆された

Annotation
(1) Syn
参照:http://www.ohu-u.ac.jp/faculty/research/researchP5.html
・抗原とIgEの複合体は形質細胞のFcεRIに結合することで形質細胞内のシグナル伝達を始動させる
・FcεRIのβ鎖とγ鎖がLynによってチロシンリン酸化→チロシンリン酸化されたγ鎖とSynが結合して活性化
・そこから始まるシグナル伝達により形質細胞が活性化して脱顆粒など引き起こす

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